「イタリアにこんなクラブは他にない」
ザッケローニ氏の後を引き継いで1シーズン、2010年から2014年まで4シーズンの合計5シーズンにわたってチームを率いた名伯楽フランチェスコ・グイドリン氏は、3年前の同紙のインタビューでウディネーゼについて次のように語った。
「ここは外国にいるような心地だ。クラブは私を信頼してくれて、5試合でわずか1ポイントしか取れなくても我慢して支えてくれる。クラブから『あと何年契約を延長するか言ってくれ』と提案されるくらいだからね。イタリアにこんなクラブは他にない」
結果が出なければすぐに首を切られるイタリアでウディネーゼの存在は異端だ。さらにグイドリン氏は続ける。
「世界中を回って若い選手を発掘する仕事をしたい。移籍市場で経営を安定させているウディネーゼのようなクラブでその仕事ができるなら、それは天職だ」
そして3年後の現在、グイドリン氏はウディネーゼ、ワトフォード、グラナダの3クラブで強化部門のスーパーバイザーを務めている。昨季限りで監督の座を育成に定評のあるアンドレア・ストラマッチョーニに譲り、天職を得てポッツォ氏の築いたネットワークをより優れたものにしようと尽くしている。
ウディネーゼのホームスタジアムであるスタディオ・フリウリは現在改修工事中だ。来季からは全席屋根付きで2万5000人収容のサッカー専用スタジアムに生まれ変わる。人口10万人弱の小都市ウディネに新たな成功の象徴が誕生するのだ。
すべてが上手く回り、成功への道筋を歩む“ポッツォ・ファミリー”。会長の掲げる野望は全世界を股にかけた究極の育成型クラブネットワークと、育成ビジネスの確立だ。厳しさを増すヨーロッパサッカー界において、異色の生き残り戦略はワトフォードの成功で次のステップへ進もうとしている。
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