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ワトフォード躍進の影にウディネーゼあり!? “ポッツォ・ファミリー”が抱く壮大な野望

text by 舩木渉 photo by Getty Images

スカウトは世界中を網羅。保有選手数はビッグクラブに匹敵

 ポッツォ氏の壮大なプランはこの頃からすでに始まっている。スター選手を大金で獲得するのではなく、世界中から未知の才能を集めてスター選手を作って高く売るという仕組みの可能性をいち早く見抜いていた。

 選手の獲得に高額な移籍金を支払うより、世界中にスカウト網を敷くことで他のクラブが見つけられない才能を安価で引き抜く。そして系列クラブで十分に試合経験を積ませて育成し、ビッグクラブに売る。このやり方が効率よく結果と資金を生み出せると考えているのだ。

 そのために必要だったのが「自由に選手をやり取りできるチームのネットワーク」で、大学教授を務めるほどの経営学者でもあるポッツォ氏は2つのクラブに狙いを定めて実現させた。

 2009年に当時3部だったグラナダを買収し、2012年にはワトフォードを傘下に収めた。前者はポッツォ氏の買収によって着実に力をつけて2011年に36年ぶりの1部昇格を果たすと、現在まで一度も降格することなく結果を残し続けてきた。

 現在ウディネーゼから国内外のクラブに貸し出されている選手は31人にのぼる。60人近い選手をレンタル移籍させているユベントスは例外だが、武藤嘉紀が移籍すると話題になったチェルシーの27人を上回る。つまり欧州屈指のビッグクラブに匹敵する数の有望な選手を管理している。

 近年ウディネーゼから巣立ったワールドクラスの名手には、サミール・ハンダノビッチ、ギョクハン・インラー、マウリシオ・イスラ、アレクシス・サンチェス、ファン・クラドラード、クワドォー・アサモア、メフディ・ベナティア、アサモア・ギャンらがおり、名前を挙げるだけできりがない。

 現在所属する選手ではシルバン・ヴィドマーやアラン、ブルーノ・フェルナンデス、ルーカス・エバンゲリスタらが先輩たちの背中を追って旅立ってくだろう。

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