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Jリーグ 10年前

大久保もシュート0本。“J最強の攻撃”が沈黙した川崎。多摩川クラシコで再び輝くためには

text by 青木務 photo by Getty Images

「あれだけチャンスが作れなければ勝てない」(大久保)

 後ろが重いということは、前に味方が少ないということだ。それによって「(大久保)嘉人にボールが入ってもサポートが足りなかった」と中村は話した。

 大久保もその点は感じている。「前の人数が足りない。ボール取っても距離が遠い」と話し、「フロンターレの悪い試合はいつもそう」と指摘する。

 後半は4-4-2にしたことで前線に厚みも生まれた。ただ、決定機を作れなくては得点を奪うことは難しい。失点を重ねる中で、風間八宏監督はFWの選手を次々に投入したが、いずれも起爆剤とはならなかった。

「あれだけチャンスが作れなければ、勝てないですよ。攻撃がJリーグナンバーワンと言われているチームなのに、シュートを打てなければ勝てない」と、大久保は嘆いた。

 2年連続の得点王で、J1通算140得点目が期待されたストライカーはこの日、シュート0本に終わっている。この結果だけ見ても、川崎の攻撃が上手くいっていなかったことがわかる。

 相手の間に入り込んでパスを繋いでいくのが普段の川崎だが、それを柏に実践された。柏は中村と大島僚太のダブルボランチをケアしてきたが、ふたりにとってそれは織り込み済み。この日違ったのは、マークを剥がした後だ。FWに決定的なパスを送る一つ前のワンクッションが足りなかった。

 今後、柏のような戦い方で挑んでくるチームも出てくるだろう。そこで同じ失敗を繰り返さないよう、攻撃が機能不全に陥らないための取り組みは続けていかなければならない。

 チームの調子が上向いている中でのこの敗戦。大久保は「切り替えるしかない」と気丈に振舞った。連戦は始まっており、次の試合はすぐにやってくる。

 次節はFC東京との多摩川クラシコだ。今回の敗戦でコンセプトが崩れることはない。風間監督は「技術が落ちているわけではなく、頭の中を切り替えることが大事」と前を向いた。短い時間ではあるが、川崎は自分たちのやるべきことを再確認する必要がある。

【了】

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