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独杯、ドルトムントに立ちはだかる新たな革命者ヴォルフスブルク。栄光後の低迷から引き上げた“ある存在”

ドイツカップ優勝を狙うのは、ドルトムントだけではない。08-09シーズン、長谷部誠らを擁してリーグ優勝を遂げたヴォルフスブルクだが、その後は低迷。しかし、今季はリーグ2位に加えてカップ戦タイトルにも王手をかけた。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「アロフスSD就任以降の発展は、全くもってポジティブ」

独杯、ドルトムントに立ちはだかる新たな革命者ヴォルフスブルク。栄光後の低迷から引き上げた“ある存在”
ヴォルフスブルク所属時代の長谷部誠【写真:Getty Images】

 特別なモチベーションで燃えているのは、ボルシア・ドルトムントだけではない。2015年4月29日のDFBポカール(ドイツカップ)準決勝、ヴォルフスブルクがビーレフェルトを4-0で下すと、翌日付の独大衆紙ビルトは「故人マランダへ送る歓喜のゴール」とする。

 3点目を決めたペリシッチが捲ったユニフォームの下には、1月に交通事故で夭折したマランダの絵があった。天に召した仲間のために――。去り行く指揮官とともにエモーショナルな戦いを続けるドルトムントと同じように、ヴォルフスブルクにとっても、ベルリンの決勝は特別な一戦なのだ。

 今回のドイツカップは、獲得となればヴォルフスブルクにとって08-09シーズンのブンデスリーガ優勝以来のタイトルとなる。

 長谷部誠も在籍し、グラフィッチ、ジェコといったアタッカーが得点を量産してリーグ制覇を成し遂げたヴォルフスブルクだが、10-11シーズンには15位で終えるなど、以後はパッとしないシーズンを送ることになる。

 結果を継続に結び付けられなかった。しかし昨季を5位で終えると、今季は現在2位に付けて、来季のチャンピオンズリーグ出場を確実なものとしている。

 ヴォルフスブルクが、09年のリーグ優勝の後の停滞を抜け出した要因はどこにあるのだろうか。4月22日付のスポーツ専門誌シュポルトビルトでは、ヴォルフスブルクの監査役会のメンバーであるステファン・グリューゼム氏が次のように語っている。

「クラウス・アロフスの就任以降のVfL(ヴォルフスブルク)の発展は、全くもってポジティブなものであると評価されるべきだ」

 2012年の12月、クラウス・アロフスは、13年間過ごしたブレーメンに別れを告げてヴォルフスブルクのスポーツ・ディレクター(SD)に就任する。ブレーメンのSDとしてアロフスは、シャーフ監督(現フランクフルト)とともに一つの時代を築き上げた。

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