ウィークポイントとなったボナベントゥーラとファン・ヒンケル
このデータからも、ウディネーゼ戦同様にボールを回しながらもハーフウェーラインを超えることがままならず、ただ無策にボールをつないでいただけということがわかる。
バルサやバイエルンが圧倒的な支配率で勝利を収めるということもあり、支配率の優劣=試合の優劣という考えもある。しかし、ミランはウディネーゼ戦とジェノア戦を通して、支配率など全く無意味であることを教えてくれたのだ。
結局のところ、自陣でのプレーも含まれるトータルの支配率ではなく、重要なのはいかに敵陣でプレーし、相手にプレッシャーを与え続けるか。例えば、昨季までのドルトムントは支配率で下回った試合でこそ勝利をつかむというデータもある。
それはボールを持った相手に対して敵陣でプレスを仕掛けてボールを奪い、素早いショートカウンターで得点を決めるからこそ。つまり、「敵陣でプレーする」という概念においては、バルサやバイエルンと共通していることになる。
実際、データを見てもバルサやバイエルンは敵陣で常に60%前後を記録しており、ドルトムントが昨季のCLでアーセナルを2-1で破った試合では45%という支配率ながら敵陣では62.5%を記録していた。
ボールを前に運べないという問題を抱えるミラン、そしてインザーギ監督は中盤のメンバーに変化を加えなかった。しかし、デ・ヨング、ボナベントゥーラ、ファン・ヒンケルの中盤は明らかに問題を抱えている。
特に90分間でわずか2度しかチャンスを生み出せなかったボナベントゥーラとファン・ヒンケルのインサイドハーフはミランにとっての“ウィークポイント”となりかけている。中盤が機能しなければ、あとは個人技頼み。相手にとって対応のしやすい攻撃となってしまう。
結局のところ、年明けから今も続くメネズの個人技頼みに起因するチーム低迷の最大の要因はこの中盤にあるのかもしれない。