崩壊したミラン。ファンはついに“無関心”
「BASTA(もういいよ)」――。
ミランvsジェノア戦の当日、ミラン側のクルバ・スッドにはそんな人文字ができていた。下の横断幕には「いい加減この大崩壊にケリをつけろ」と書いてある。数々の体たらくを重ねたのちに前節はウディネーゼに内容以上の完敗。ついにファンも忍耐が切れた。
0-2とされた後半9分、パッツィーニに代わって最初に交代することになった本田圭祐にブーイングが飛ぶのもこの流れからすれば当然だった。それに対し、彼はスタンドのあちこちを向いて拍手で対応する。ファンはこれを皮肉と取り、単なるブーイングは怒号へと変わった。
一体何をアピールしたかったのか。「ファンも変わらないと。ブーイングの中ではDFラインも落ち着いてボールを回せない」と以前彼は言っていたが、“こうなった責任の一端はブーイングを浴びせる君達にもある”ということなのだろうか。本田が試合後言葉を残さずに去ったため真意は知る由もないが、チームが負けていれば攻撃面で結果を残せなかった10番が責められるのは仕方がないだろう。
そして人文字を作り、ブーイングを浴びせたゴール裏の人々は、試合終了の5分前に消えていた。負けたチームに罵声を浴びせるでもなく、ただ冷淡な沈黙が支配する。「愛情の対義語は憎悪ではなく、無関心だ」といわれるが、クオリティの低い選手ばかりで結果を出せないチームなど知ったことではないということなのか。ある意味、普通のブーイングよりもきついメッセージを発していた。