敵将も称賛。宇佐美の変化
そういう変貌ぶりが感じられたからこそ、2013年9月の対戦時には「宇佐美はパスを出した後、歩いている」と皮肉交じりに語っていた松本山雅の反町康治監督も、今回は全く違った評価を下していたのだろう。
「やっぱりいろんな資質を持っている選手。バイエルンやホッフェンハイムへ行って生存競争の厳しさを学んだのは大きいと思う。あとは食事を見直して体脂肪率を下げればもっといい選手になるのかな…(笑)。というのは冗談で、十分体がキレてるし、これだけ試合ができるんだから問題ない」と敵将も絶大な存在感を認めていたのだ。
その宇佐美は目下、J1得点ランキングダントツトップ。2013・2014年得点王の大久保嘉人(川崎)とは3差、同い年のライバル・武藤嘉紀(FC東京)とは4差だ。
ベテラン・大久保は「最後にてっぺんにおればいいから。終盤になってくると若いやつにはプレッシャーがかかるから」と指摘していたが、そこに至る数々の重圧を克服してこそ、真の日本のエースになれる。その最初の試金石となるのが、次の浦和戦だ。
「相手はもちろん厳しく来るでしょうけど、そこを突破しないとチームとしても厳しい展開になると思うし、突破できればいい試合ができる。そういうプレッシャーを自分に課しながらやりたいなと思います」
記録の懸かる浦和戦はチームにとっても頂上決戦だ。当然プレッシャーの懸かる試合でもあるが、今の宇佐美には自信がある。自身の記録、そして首位奪取という高い壁を前に、宇佐美の目は輝いている。
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