チアゴが抜け、中盤のクオリティが低下したバイエルン
そしてその中でドルトムントは失点してしまう。29分、香川が「ボールを受けて」のドリブルから、左サイドのロイスへのパスを送ろうとする。しかしベナテイアにカットされる。ベナティアは素早く走り出しているレヴァンドフスキにロングボールを送る。レヴァンドフスキはシュートを打ち、1度は左のポストに当たったボールを、再び冷静に流し込んだ。
バイエルンのペースで前半は終わり、そしてこのまま試合が終わってもおかしくはなかった。しかし68分、チアゴとロッベンが代わったことで、次第に流れはドルトムントへと傾いていく。
特にチアゴが抜けたことで、バイエルンは中盤のクオリティが低下した。ロッベンに離脱前の輝きはなく、戦術的なバリエーションを広げるはずの存在は、浮いた格好となった。
あげく、再びふくらはぎの負傷で84分にゲッツェと交代してしまう。その中で75分、ドルトムントはムヒタリヤンの左からの折り返しを、ファーサイドでオーバメヤンが詰めて、1-1のドローに追いついている。
試合は延長を含めた120分でも決着が付かず、PK戦に突入した。そしてバイエルンは全員が失敗する。理由は分からない。失敗したラームは「PK戦では運の良い方が勝つ」と、ルンメニゲ会長は「運が悪かった」と口にした。
香川は「いいサッカーではなかったかもしれないけど、本当にチーム全員の気迫と気持ちで勝ち切った勝利だった」と言葉を残した。
「気迫と気持ち」、その些細な差が、PKの行方を決めたのかもしれない。
【了】