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FIFA理事選がなぜ重要なのか? 田嶋氏の当落で変わる日本サッカーの未来。日韓共催の痛手、W杯出場枠に影響も

text by 藤江直人 photo by Getty Images

有力だった田嶋氏。しかし大きな敵が2人

 JFAに課されたテーマとしては女子W杯招致がある。仮に2023年大会の招致を目指すとすれば、決定は2019年になることが予想される。今回改選されるFIFA理事の任期中に招致活動が行われるだけに、田嶋副会長が当選することのメリットは計り知れないほど大きい。

 4年前の雪辱を期す大一番へ向けて、昨年4月の段階で立候補を表明し、外務省や文部科学省、国際協力機構(JICA)や民間企業の後押しを受けて入念に準備してきた田嶋副会長は手応えを口にしている。

「落選した4年前は準備期間が短かったが、今回は自信をもって臨める」

 AFCにおいて無役だった前回とは異なり、田嶋副会長はAFC理事としてこの4年間、サッカーを通したアジア貢献活動を謳い、紛争地帯を除く40ヶ国以上のサッカー協会を地道に訪問してきた。票読みに関しても「どんなことがあっても過半数は取るつもり」と自信を見せていたが、今年2月になって状況は大きく変化している。

 国際オリンピック委員会(IOC)委員としてアジアのスポーツ界を牛耳る最大の実力者、クウェートのアハマド王子の立候補表明はある意味で寝耳に水だったといっていい。さらには、2013年1月に大韓サッカー協会会長に就任した鄭会長も立候補を正式に表明した。

 東西に幅広く、宗教を含めた文化も大きく異なるアジアは東アジア、東南アジア&オーストラリア、中央&南アジア及びイラン、中東の4つのゾーンにわけられる。それぞれのゾーンが候補者を調整し、他のゾーンと水面下で共同戦線を組んで改選枠を争ってきた。

 今回のFIFA理事選でも直前になって、カタールサッカー協会のサウード・アル・ムハンナディ副会長が立候補を取り下げた。3人が乱立していた中東地区への集票を一本化するためだ。

 日本と韓国が所属する東アジアサッカー連盟の加盟国数は「9」で、4つのゾーンのなかで最少となる。つまり基礎票が最も望めない状況で、日本と韓国から候補者を出したことになる。2011年のFIFA理事選でも田嶋副会長と張吉龍氏(中国)が立候補し、共倒れに終わった。当時の教訓が、今回も生かされなかったことになる。

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