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Jリーグ 10年前

「僕が子どもたちに夢を」。笑顔の守護神・西川周作の原点。11人目のフィールドプレーヤーが目指す理想像

シリーズ:J.CHAN text by 舩木渉 photo by Getty Images

西川が目撃した本物のプロフェッショナル

 当時すでに33歳のベテランだった“エル・パト”は、ただ1人ホテルの外に出てくると、待っていたファンにハイタッチをし始めた。少年だった西川は本物のプロフェッショナルとしての姿を目の当たりにして衝撃を受ける。

 もちろんファンサービスだけではない。アボンダンシエリの持ち味でもあった、ため息が出るほど正確なキックや、卓越したセービング技術も西川を虜にした。

 大分トリニータの下部組織時代から両足のキック精度の高さは有名で、ユース時代には直接フリーキックで7得点を挙げている。その精度は年々凄みを増しており、受け手の足もとへピンポイントで届くキックはもはや名物だ。

 西川はいつも「GKは大きく構えていなければ」と語っているが、これはアボンダンシエリから学んだ姿勢でもある。

 いつでもサポーターや周囲への感謝の心を持つこともアボンダンシエリから学んだ。西川はどんなにつらい時でも輝くような笑顔を振りまき、周りを幸せな気分にする。

 あの日見たアボンダンシエリのように、「今度は僕が子どもたちに夢を与えたい」。そう語る西川は、常に前を向いて大好きなボールを追っている。

【了】

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