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アジア 10年前

ACLで苦戦の豪州勢。未来を懸けて戦うWSW高萩&田中、2人が語る日豪の違いとは

text by 植松久隆 photo by Getty Images

アジア王者WSW。2人にとっては運命の広州恒大戦

ACLで苦戦の豪州勢。未来を懸けて戦うWSW高萩&田中、2人が語る日豪の違いとは
昨季ACL王者のWSWはGL突破なるか【写真:Getty Images】

 もう一つ、どっちが良いかという短絡的なものでは無いことをあらかじめ断ったうえで、日豪のACLに関しての取り組み方の意識の違いも指摘しておきたい。WSWは、トニー・ポポヴィッチ監督の積極的なターンオーバー起用で過密日程を戦ってきたが、リーグ戦の低迷もあって、シーズン最後半は選手起用にはっきりとACL優先が感じ取れた。ブリスベンも、Aリーグのファイナル進出が決まってからの直近の2試合では、前述のエースMFブロイッシュら主力を完全休養させ、ユース年代の選手メインの顔ぶれで戦った。それは、ACL最終戦に向けての露骨なまでの主力温存策に他ならない。

 諸般の事情もあって、Jクラブにはここまでの思い切りは望めないのかもしれない。しかし、メンバーを落としてACLに臨んでも結果が付いてこないことは、ここ数年のACLでの柏を除く日本勢の戦いぶりが証明している。ACLを“負担”と感じてしまう意識があるようであれば、日本勢のACLでの復活劇はこれからも望むべくもないだろう。

 ACLのラウンド16を想定して、契約が5月31日までに設定された高萩、田中のWSWでの将来は、まだはっきりしない。僅かではあるがグループリーグ突破の可能性が残る広州恒大戦に勝利してラウンド16進出を果たせば、ホーム&アウェーでの試合には現行の契約のままで出場できる。逆に言えば、突破できなかった際には両名の残留の目は一気に低くなり、「現時点ではまったくの白紙」という去就にも大きく影響する。

 今季のWSWのACL仕様のユニフォームには、アジア王者の証たる金色のエンブレムが燦然と輝いている。WSWは、昨年のアジア王者としての誇りを失わず、16強の名を連ねて王座防衛の挑戦権を得られるのか。2人の日本人選手の豪州でのキャリアの未来をも大きく左右する大一番は、5月5日、すぐそこに迫っている。

【了】

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