ドルトムントサポーターも導入に反対
18日に行われたドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムント対パダーボーンの一戦では、ドルトムントのサポーター席に「STOP NATIONALT AWAYKORT – FRIHED FOR FANS」(アウェイカードを全国的に導入するのは止めよう。サポーターに自由を)というデンマーク語の横断幕が掲げられた。
アウェイカードと似たような制度はポーランド、イタリア、ベルギー、トルコといった国で導入された事例はある。だがこれらの国々で共通しているのは、こうした制度の採用はデメリットのほうが大きいという点だ。
たとえばベルギーでは1999年にアウェイカードと類似したルール「フットボール・ファンカード」が導入されたが、観客による不祥事は減らず、観客数の減少に悩まされて結局7年後に廃止された。トルコでは、サポーターによる暴力や闇マーケットの問題を解決すべく、2014-2015シーズンから「passolig」という個人IDが登録されたカードの発行を義務付ける制度が導入されたが、ベルギーと同様に観客数が激減。さらにはリーグのスポンサーが撤退するという事態にまで発展した。
アウェイカードを採用することが安全面の向上につながるかどうか疑わしい。導入のきっかけとなったのが冒頭で先述した2012年のオールボー対コペンハーゲンの試合だが、実を言うとコペンハーゲンは2008-2009シーズンからアウェイカードの制度を独自に導入しているのだ。
つまり、オールボー戦で発煙筒を焚いて騒ぎを起こしたサポーターはアウェイカードを携帯していたのである。観客数減少のほかにも、先述したデンマークサッカーファンクラブのトレンスコウ会長が言うように、「アウェイカードのような制度を導入しなければならないほどスタジアムでサッカーを観戦するのは危険なんだ」とサッカーを知らない人に悪いイメージを植えつけてしまう危険性をはらんでおり、マイナス面のほうがはるかに大きいにように思える。