導入には国内外から反発の声
事の発端は3年前。2012年3月、オールボーBK対FCコペンハーゲンの一戦で、アウェイのコペンハーゲンサポーターが陣取るエリアから多数の発炎筒が焚かれて騒ぎとなる一幕があった。これを受けてデンマークサッカー協会、デンマークリーグ協会、各クラブの関係者とサポーター団体、さらには法務省までが一致団結。誰もが安全に観戦できるサッカー環境づくりに取り組むことを約束した。
以後、デンマークリーグ協会とサポーター団体が中心となって話し合いが行われてきたわけだが、デンマークリーグ協会とアルカ・スーパーリーガのクラブが独断とも言えるアウェイカード導入の意向を示したのはまさにそんなときだった。サポーターからすれば寝耳に水だったい違いない。
各クラブのサポーターグループの上部団体にあたるデンマークサッカーサポーター連盟で会長を務めるラスムス・トレンスコウ氏は「アウェイカードの導入には反対だ。この制度を取り入れたからといってスタジアムのセキュリティが改善されるということにはならない。こういった類の解決策は『スタジアムでサッカーを観戦するのは危険』といった間違ったイメージが広がってしまう」と話す。
クラブのサポーター団体も反対の声を上げている。これまでブロンビーIF、FCミッティラン、オールボーのサポーター団体が、アウェイカードが正式に導入されることになれば来シーズンはアウェイゲームへの遠征を行わないと発表している。
アウェイカード導入は国外からも批判が出ている。デンマークのライバル国であるスウェーデンでもアウェイカード導入のニュースは報じられており、デンマークリーグ協会と同様の役割を担っているスウェーデンエリートサッカー協会のマッツ・エンクイスト事務局長は「試合にはアウェイチームのサポーターが必要だ。サッカーの試合を観に行くのに許可証が必要だなんてあってはならないこと。サポーター同士の争いが起きることもあるが、そういった場合は個別に対処している。『サッカーパス』などというものを導入したくない。ひどいアイデアだ」とコメントしている。