現役引退が報じられるFWロナウジーニョ【写真:Getty Images】
メキシコのケレタロに所属する元ブラジル代表のFWロナウジーニョが、今年の夏で現役を引退する見通しだ。
現地メディア『BOCAO news』によれば、ロナウジーニョは、今年5月に現役を退き、母国で大規模な引退パーティーを計画していることを、同選手の友人が明かしたという。ロナウジーニョは2016年夏までクラブと契約を残しているが、チームを退団する意向を示しており、今季限りでメキシコを離れる準備をしていると報じられている。
ロナウジーニョはこれまでブラジル代表の各世代でプレーし、2002年の日韓W杯では母国5度目の優勝を経験。2003年から5年間所属したバルセロナでは、クラブ黄金期の礎を築き、チャンピオンズリーグ制覇やリーグ2連覇に大きく貢献した。個人としても、2005年にFIFA最優秀選手賞とバロンドール(2010年以降はFIFAバロンドールとして表彰)を同時受賞するなど、世界最高の選手として人々に記憶に刻まれた。
しかし、ロナウジーニョについて特筆すべき点は、驚異的なテクニックと人懐っこい笑顔によるカリスマとして存在感であり、企業に莫大な利益を生んだ広告塔として価値であろう。
バルセロナでの絶頂期には、ルイス・スアレスが初めて買ったスパイクと言われるナイキ社製の『R10シリーズ』という個人モデルを展開。CMでは一度も落とす事なく4連続でクロスバーに当てるという神業映像も話題を呼び(動画サイト初の100万回再生を記録)、グッズは瞬く間に人気商品となった。ロナウジーニョに憧れる現役選手も多く、2013年に出場したクラブW杯では試合終了後に相手選手から身包みをはがされるシーンも印象的だった。
世界的人気TVゲームの『FIFAシリーズ』(EA Sports)では、6年間で5度の表紙を飾り、エンターテインメントの象徴として世界のサッカーシーンに君臨した。その他にもペプシ社、コカ・コーラ社、ダノン社、ゲータレードなどの様々な企業やブランドとタイアップし、市場でのフットボールの価値を上げることにも貢献した選手の一人だった。
現在もその人気ぶりは落ちることなく、ツイッターのフォロワー数はおよそ900万人おり、世界のあらゆるアスリートの中で5番目に多い数字を誇っている。そんなロナウジーニョが現役を引退するというニュースは、フットボール界だけの話題というわけでもないのかもしれない。
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