バイエルンのスタイルを熟知していたロペテギ監督
ポルトのロペテギ監督は「バイエルンとの試合は常に難しいものだ。しかしポゼッションという点では世界でもっとも偉大なチームから、我々はこの試合で素晴らしいスタートを切った」と振り返る。ペップの古い友人ということもあるかもしれない。「ポゼッションという点では世界でもっとも偉大なチーム」という、一見するとペップ・バイエルンへのリスペクトは、裏を返せば「常に後方からビルドアップをしようとするけど、このスタイルは危険なものになることもある」ということを熟知しているかのようである。
ボランチのアロンソが、ビルドアップのためにCBの間に降りてパスを受けることは、もはや御馴染みの光景となっている。それまではポルトの3トップが無理にプレスを掛けに行かず、アロンソにボールが入った途端に、マルティネスがスピードを上げたことを見ても、ポルトがバイエルンの「スタイル」が「危険なものになる」瞬間を狙っていたことは明らかだ。
そして9分の2点目も似たような形で生まれている。右SBラフィーニャから左CBダンテにボールが入ると、すかさずクアレスマがチェックに行く。ダンテからボールを奪うと、クアレスマはノイアーの前で、そのままゴール左に流し込んだ。
先制に繋がるPKを獲得したマルティネスは、「バイエルンがボールを持つとファンタスティックで、ポゼッションでは上回るということを僕たちは知っていた。だからピッチの上では高い位置でプレスを仕掛け、中央ではスペースを与えない必要があったんだ」と振り返る。指揮官ロペテギの下、選手たちもラームの言う「このスタイル」を知ってバイエルンを相手に戦った。
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