「指揮官ユルゲン・クロップの間違った決断」
しかし、その後配給役のサヒンを欠いたこともあるが、例えば相手が4バックに2ボランチで、さらにバイタルエリアのスペースを消してくると、この方法も行き詰ってしまう。
ポカール準々決勝のホッフェンハイム戦では、シュメルツァーがオーバメヤンに収まるはずのないロングボールを送っている。依然としてドルトムントはワントップを欲しているのである。
ではなぜ冬の移籍市場では、ザルツブルクからのカンプルに留まって、「クロップのフットボールにピッタリ合う」長身FWを獲らなかったのか。相手があっての移籍なのでタイミングの問題など色々あるとは思うが、主な理由は、前期を終えた時点のドルトムントにとって最重要テーマが「残留争い」だったからだろう。
独大衆紙ビルト電子版は2015年1月25日12時28分に「クロップはマンジュキッチの獲得に反対した?」という見出しの記事をアップしている。記事は「BVBのメガ・クライシス。おそらくそれはシーズン前に始まっていた。指揮官ユルゲン・クロップ(47)の間違った決断によって」と始まっている。
少し回りくどいが、ビルト電子版は、シュピーゲル誌の記事を引用した。シュピーゲル誌によれば、昨夏、社長のハンス・ヨハヒム・ヴァツケ氏と、ツォルク氏はバイエルンを退団するFWマンジュキッチの獲得に“イエス”を示した。
しかしクロップは、“ノー”を突きつけた。クロップはマンジュキッチの性格に疑問を抱いた。BVBは新規選手獲得の際に、社長、SD、監督による全会一致の原理が働くのである。
ビルト電子版が記したように、クロップが「間違った決断」を下したかどうかはともかく、このエピソードからは、クロップの石橋を叩いて割る性格が読み取れる。
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