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武藤はスポンサーの“広告塔”なのか? 移籍で待ち受ける熾烈な定位置争い。チェルシーが持つ重要課題とは

text by 山中忍 photo by Getty Images

移籍決断には熟考を

武藤はスポンサーの“広告塔”なのか? 移籍で待ち受ける熾烈な定位置争い。チェルシーが持つ重要課題とは
チェルシーではアザール(左)やウィリアン(右)といったライバルが待ち受ける【写真:Getty Images】

 昨季までのチェルシーでは、キレのあるドリブルとシュート力が売り物のシュールレも定位置を争っていた。武藤にも通じる長所を持つサイドアタッカーだが、結果は在籍2年で母国ドイツへのUターン。早期売却の背景には、代表での定位置獲得に向けて出場機会増を求めた本人の意思もあるが、武藤の場合、代表歴はもとよりプロとしてのキャリア自体が始まったばかり。22歳の今、最も適した身の置き場は、華やかな欧州最高峰の世界よりも、地道な成長に繋がる常時出場が可能な世界だろう。

 武藤には、無事に労働ビザが下りてチェルシーでの“就労”が許されたとしても、欧州大陸側など他クラブへのレンタル移籍が濃厚だ。もちろん、1軍経験を積んで呼び戻される可能性はあるが、逆にレンタル先でも主力視はされず、その間に新たな競争相手がチェルシーで台頭する危険性もある。

 同じストライカー兼ウィンガーとしては、12日のQPR戦でもベンチ入りしたブラウンというユース出身者もいる。ブラウンと前述したボガは、モウリーニョが「2、3年後に代表レベルに成長できていなければ私の責任」とまで言う“有望株”だ。

 日本の一部報道ではオファーを見送ったという報道もあるが、精神面の鍛錬を含めて、早い段階で海外に飛び出すメリットはある。しかし、チェルシーによる獲得オファーが「なぜ武藤なのか?」と話題を呼んだ春の後には、武藤が「なぜチェルシーなのか?」を熟考すべき夏が訪れる。

【了】

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