武藤はスポンサーの広告塔なのか?
「非常に優秀な選手か有望な選手。そのどちらかであることは間違いない」
4月12日のQPR戦(2-1で勝利)を前にした会見で、チェルシーからの獲得オファーが報じられたFC東京のFW武藤嘉紀に対する評価を尋ねると、チームを率いるモウリーニョはそう答えた。
イングランドのメディアからは、発表されて間もない横浜ゴムとの大型スポンサー契約と、検討中と報じられた今季終了後の日本遠征との関連性を問う質問が出た。当然、無関係ではないだろう。母国の“新星”加入による話題性と注目度の急上昇はスポンサー企業にすれば大歓迎。日本における人気度でマンチェスター・ユナイテッドやアーセナルを越えたいチェルシーにとっては願ってもない“広告塔”だ。
モウリーニョ自身も、「今日のサッカー界では、現場サイドと経営サイドを完全に切り離すことはできない」として、ビジネス面でのインパクトを否定してはいない。
但し、「スポンサーが先か武藤が先か?」という疑問に対する答えは後者の可能性も十分にある。クラブ広報担当は「武藤への注目が先」と断言してもいる。チェルシーが国際スカウト部門の強化を図ったのは4年前。拡充されたネットワークのアンテナは日本を含む「極東」にも向けられてきた。感度を増したチェルシーのレーダーに、ドリブル突破によるチャンスメイク、ミドルやヘディングもあるフィニッシュ、精力的なフォアチェックといった特長を持つ武藤が捉えられても不思議はない。