前例と武藤は関係ない。自分の能力を信じるべき22歳という年齢
フットボールのキャリアは慎重に考え抜いたうえで一歩ずつ着実に先に進まねばならないという考えは、実際には何も裏付けもない(例えば、オランダやドイツを経由して、という考えだ)。
選手がどのようにトップで成功するかに規定のルールはなく、より大きな成果を得ることを望むなかで中心から離れた小さな移籍を選ぶことは、実を結ばない。時にはリスクを冒さなければならないし、自分の能力を信じなければならない。
武藤はプロとしてプレーを始めたばかりかもしれないが、すでに22歳だ。まだ22歳ではなく、もう22歳である。フットボールの世界では、とても若い年齢というわけではない。例えば、今後彼のチームメートになる可能性があるオスカールは、20歳の時に移籍金1900万ポンド(約33億7000万円)でチェルシーとサインした。
武藤は才能がある選手であり、どこへ行っても聡明な人間だと聞く。私も取材を通じてそう感じる。出生証明書に書かれた生年月日は無関係であり、ピッチ上で何に貢献できるかだけが大事なのである。
もし武藤がその中に飛び込むことを決断し、ロンドンへ移籍すれば、もちろんジョゼ・モウリーニョの下で彼自身の価値を証明しなければならないし、欧州の他のリーグにある提携クラブの一つにローンされるようになるかもしれない。
しかし、移籍は彼に快適と感じる場所以外での生活に適応できる能力を身につけられる機会を与える。他の選手が武藤と似たような状況でチェルシーのレギュラーを掴めなかったことが、彼も同じ運命を辿り、不幸な状況に陥ることは意味しない。
選手は自分が感じたままに決断を下すことがベストである。これは非常に大きなチャンスであり、キャリアの中で一度きりの機会かもしれないのだ。
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