絶対的な地位を取り戻せるか
そして再びユベントス戦を迎える。ベスト8進出を懸けた大一番だった。トップ下には、ムヒタリヤンが入った。先発に香川の名前は無く、90分間を通しても出番はなかった。第1戦とは違って、第2戦で先発に起用されなかったことは、3月の低調なパフォーマンスを考えれば、仕方のないことだろう。
そしてハノーファー戦ではゴールこそ決めたものの、日本代表戦の一時帰国から戻った直後のバイエルン戦では、先発メンバーの中に名前はなかった。
こうして振り返ってみると、香川が重要なゲームで先発として使われない傾向は、パフォーマンスに一貫性がなく、安定性のなさに依るところが大きい。
とは言え、それは香川に限ったことではない。今季のドルトムントの攻撃陣はおしなべて不調で、ようやく1トップがオーバメヤンに定まったが、2列目ではロイスを除けば、未だにクロップは日替わり定食A、B、C…を順繰りに選んでいるようなところがある。
もっとも、香川がドルトムントの中で、ロイスのような絶対的な立ち位置を確保出来ていないことも事実だ。
しかしこうしたことは、香川本人が一番理解しているのではないだろうか。45分間で交代となったハンブルガーSVとの一戦の後で、周りの選手から活かされるために、「自分を出していかないと行けない」と香川は言葉を残した。
それは、周囲との連携を深めるためだけの言葉なのだろうか。それはトリノでのユベントス戦で、先発としてピッチに立てなかったことにも通じるように思える。
今季も残りあとわずかとなったが、4月11日の3位ボルシアMG戦、5月16日の2位ボルフスブルク戦といった上位勢との対戦が控えており、またドイツカップの決勝といった可能性もある。
存在を証明するためのゲームは、まだ残されている。
【了】