カウンターを仕掛け、かつ回避することに成功したバイエルンの縦パス
さらに興味深いのは、GKノイアーが出したパスだ。図3を見て欲しい。これは、各選手がパスを出した先を示すものだが、線が太いほどより多くのパスが行き来していることを示している。
このデータでは、ドルトムントは主にCBから中盤へ渡り、そこから左右へ振り分けられている。それに対してバイエルンは、GKノイアーがCBのダンテ、ボアテング、ベナティアへパスを出し、そこからベルナトとラフィーニャの両サイドに多く送り込まれている。
つまり、サイドへボールを出すためにドルトムントは主に横パスを使い、バイエルンは主に縦パスを使っていたということだ。
仮に横パスを奪われた場合にはボール奪取位置がパスの出し手と同じライン上となるため、一気にカウンターのチャンスが生まれてしまう。その一方で、縦パスであれば奪われてもパスの出し手よりボール奪取位置が手前。出し手が守備へと意識を切り替えてカウンターに対処する時間は十分にある。
バイエルンはドルトムントのカウンターに対して十分にリスク回避出来る状態でプレーしていたということだ。
そして、それ以上にノイアーのパスで注目したいのはピッチを縦断する1本のラインだ。最後尾から伸びるこのラインは、11人中最前線に位置するミュラーへと続いている。その数11本。ノイアーのパスの行き先として最多の本数となった。
ドルトムントのGKヴァイデンフェラーが最前線のオーバメヤンに出したパスが1本ということも、この11本という数が驚異的であることを証明している。
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