サポーターからも大きな期待を寄せられる渋谷亮
春の訪れとともに、92年組の面々はそれぞれのスタートを切っている。東京ヴェルディの渋谷、大木暁、キローラン木鈴は、2月にあった「VERDY FAMILY FES. 2015 in よみうりランド」のステージで、ダチョウ倶楽部のおでんネタを集まったファンに披露。まずまずの笑いを獲得した。
だが、「あれ以外はまだ何もやってないっす。自分の評価がまだまだなんだと思い知らされます」と大木は渋い顔。木鈴もまた「いまは我慢の時期だと自分に言い聞かせて毎日練習」と言う。ふたりが愚痴っぽくなりそうなとき、「見ている人はちゃんと見てるから。練習でもっと追い込もうぜ」と発破をかけるのは渋谷の役目だ。
渋谷はプロの身体作りに取り組んでおり、体重は早くも5キロ増加した。もともと食の細さが弱点だが、その課題とも向き合っている。
「栄養面と筋トレ、それぞれ指導された通りにやれば、きちんと実になるんだなというのが実感です。現状はさまざまな面で周囲と差を感じますね。一歩一歩上がって、自信をつけていきたい」
周囲の期待は格別に大きい。それを重く感じることはないのだろうか。
「いえ、そんなことは。サポーターから声をかけてもらえるのは一番のモチベーションになる。練習でうまくいかなかったとき、そうやって背中を押してもらえるのはありがたいです」
3月8日、セレッソ大阪とのホーム開幕戦。ゴール裏にはためく大旗に、渋谷の名が大書されていた。横断幕が張られていた。17番のレプリカシャツを着たサポーターがいた。父の義則はゴール裏からそれを見ている。クラブから家族用にSS席のチケットを受け取っていたが、例年通りにシーチケを買っていた。
決まった居場所はサポーターが密集するエリアの少し横。試合を見るなら、やはりこの角度でなければ落ち着かないのだ。緑に囲まれ、チャントに合わせて手拍子をしながら愛するチームを応援する。