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香川真司 10年前

自らの首を絞める結果に――。ドルトムントが奪ったバイエルンの理想。香川が語る「3分の1の勇気」

text by 本田千尋 photo by Getty Images

バイエルンにとって不本意だった現実的な姿

 クロップが「最初の10分間は完璧だった」と言うように、前半開始からドルトムントのアタッカー陣のプレスが上手く機能した。ワントップのオーバメヤンを先鋒に、カンプル、ロイス、ブワシュチコフスキの2列目がプレスを掛けて行く。

 アロンソ、ラーム、シュバインシュタイガーのトリプルボランチには、ロイス、ギュンドアン、ベンダーが当たり、バイエルンの中盤から自由を奪った。復帰後初先発のラームに好調時のキレは欠片もない。

 一方で、ロイス、オーバメヤンへのボールは、ボアテングが「完璧」に対処し続ける。アロンソを中心とするビルドアップは上手く行かなかったが、他方、バイエルンの3バックは安定したパフォーマンスを見せたことで、ドイツ・クラシコの均衡は保たれた。

 しかし36分のことだった。ドルトムントは、ボルシアMGのように連動したプレスでバイエルンを苦しめたが、ボルフスブルクのCBナウドのように、レヴァンドフスキへの縦パスを執拗なまでに潰すことはしなかった。

 フンメルスの目の前で、ボアテングからの縦パスがレヴァンドフスキに入る。フンメルスは追い縋ったが、レヴァンドフスキは前方のミュラーへパスを送る。

 ミュラーのシュートを、バイデンフェラーは足で弾いたが、こぼれ球をレヴァンドフスキが飛び込んでヘッドで突き刺した。バイエルンが先制に成功する。0-1。

 試合後にペップが今後の戦い方について「我々が今日プレーしたよりも、違うプレーをしたいものだ」と言葉を残し、またラームも「自分たち自身のボールポゼッション」に不満を述べたように、1点をリードした後で見せた現実的な姿は、バイエルンからすれば不本意なものではあったようだ。

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