チームの成長、成熟を放棄した勝利
チームが劣勢を強いられる中で、デストロがセンターFWを務め、左WGとして起用されたメネズはわずか1回のチャンスメイクのみに終わったものの、終盤の独力によるゴールでチームを連勝に導く存在となった。
さらに、チームの守備もパレッタがPKを与えて一時は同点に追いつかれたものの、ここ数試合と比べれば全員の意識も高まり安定感が生まれていた時間帯もあった。
一方で、“メネズ頼り”が通用するのは下位に沈むチームを相手にした場合のみであることも立証済みだった。攻撃に複数のバリエーションが無いのであれば潰すのは簡単。ヨーロッパの舞台で戦う力を持つ上位勢にとっては難しくない相手だろう。
それでも、この日アウェイで下した相手は11位のパレルモ。これまで勝利を挙げてきた降格圏のチームではなく、勝ち点でもミランと拮抗した相手からの白星は確実に手応えと自信につながるはず。
「チーム全体が守備への意識を高く持ち、攻撃はメネズに任せる」
インザーギ監督は、このスタイルを少なくとも今季の残り9試合で続けていくだろう。当然、来季を見据えた上では全く理想的ではない。チームとしての成長、成熟を放棄して目先の勝利をつかもうというものだからだ。
例えば、ブラジル人助っ人の強力FWを擁して好成績を収めたJリーグのクラブが、そのブラジル人FWが去った途端に成績を落とすのと同様の状況といえる。
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