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本田圭佑 10年前

「個人技」で連勝のミラン。負傷欠場の本田は復帰後も厳しい立場? ビジョン無きチームの犠牲となるか

セリエA第29節、ミランはアウェイでパレルモを2-1と下し連勝を飾った。しかし、この連勝はチームとしてではなく、メネズの個人能力による部分が大きい。それはチームの成長を放棄したものでもある。そして本田圭佑の立場も厳しいものとなる可能性が高い。

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

2戦連続でMVP級の活躍を見せたメネズ

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成績が低下する中、インザーギ監督は前線の個人技を中心に得点を狙う方法をとった【写真:Getty Images】

 サッカーとは、言わずもがな1チーム11人で行う団体競技である。しかし、11人をどのように使うかは監督の意向、あるいは選手の判断によって大きく変わるものでもある。

 ロングカウンター、ショートカウンター、ポゼッション、パワープレー、サイド攻撃、中央突破、組織力重視、個人技重視…。その他にも戦術の選択肢は数多くあり、どれが正解というわけでもない。最終的には結果が出るか否かが判断の決め手となる。

 今季、選手時代にもプレーしたミランの指揮官に就任したフィリッポ・インザーギ監督は、その中からカウンター、組織力、サイド攻撃を選択した。

 支配率では40%台ながら、エル・シャーラウィが左サイドを突破し、メネズが中盤まで降りてスペースを空け、右サイドから本田が中へ侵入し、アバーテが右のスペースにオバーラップをすることでチャンスを作り出し、開幕7試合で2勝2分け1敗と決して悪くないスタートを切った。

 しかし、当然のことながら新人監督のチームを放っておくほどセリエAは甘いリーグではない。十分なデータが出揃った中盤以降は対戦相手も徹底した対策を練ったことでミランのストロングポイントは潰され、徐々に成績も低下した。

 そうしていく中で、インザーギ監督が打った次の手は、前線の個人技を中心に得点を狙う方法だった。

 結論から言って、パレルモ戦のマン・オブ・ザ・マッチは間違いなくジェレミー・メネズ。しかも前節のカリアリ戦に続いて2戦連続。そのカリアリ戦で2得点を挙げ、この日のパレルモ戦でも83分に勝ち越し点を決めた。

 試合後のスタッツを見ると、支配率はパレルモの53.7%に対してミランは46.3%、パス成功本数は353本に対して306本、アタッキングサードでのパス本数は158本に対して125本、チャンスメイク数は12回に対して5回、シュート数は16本に対して13本と攻撃に関する全ての面でミランが下回っていた。

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