W杯の惨敗から復調したイングランド代表
代表の様子に激しく一喜一憂せずにいられないイングランド国民。昨夏に「憂」のどん底に沈んだ国内では、その後「喜」のムードが高まり続けた。W杯ブラジル大会はグループ最下位に終わったが、続くEURO2016予選では、強敵不在とはいえ5試合を計15得点1失点の全勝でグループ首位に立っている。
そのムードの表れが、3月の代表ウィークを前に話題になったロイ・ホジソン監督続投の可能性。現契約が来夏の欧州選手権を以て満了する母国人監督には、キャプテンのウェイン・ルーニーをはじめ、チーム内からも「さらに2年」の新契約を支持する声が上がった。監督に選ばれた代表選手が否定的な発言をするはずもないが、雇用主のイングランドサッカー協会(FA)は、当初とは違いEURO本戦を待たずに契約延長を検討する構えを見せてもいる。
そこで、3月末のイタリア戦がさらに注目された。親善試合ではあっても、直前にホームで順当勝ちしたリトアニアとの予選第5節(4-0)とは違う、強豪国とのアウェイゲーム。ホジソン続投の妥当性を測る尺度になると見られたのだった。
実際には、引き分け(1-1)に終わった試合と同じく“プラマイゼロ”と言ったところだ。監督にとってのプラスは、前半に奪われたリードを終盤に帳消しにしたチームスピリット。途中出場から、同点の20m弾を決めたアンドロス・タウンゼントと創造性を加えたロス・バークリーなど、代表再建には欠かせない若手によるインパクトも見られた。
“最新戦力”のハリー・ケインも、リトアニア戦でのデビューゴールに続く得点はならなかったが、先発フル出場初体験の身で、精力的に動きながらジャンルイジ・ブッフォンにセーブを強い、ルーニーらへのアシストにも迫った。70分間はイタリアが優勢だったことを考えれば、上々の本格的デビューとなった。