「W杯を獲った時は必ず“オリウンド”が入っていた」
八 それでもいい点はいくつかあったよ。エデルを使って結果を出したというのは大きいんじゃないの?
チェ それについて話したかった。『Oriundo』(編注:先祖にイタリア人がいる外国生まれの代表選手やイタリア以外にルーツがあり、他国代表を選んだ選手をオリウンドと呼ぶ)のこと、八塚さんはどう思いますか?
八 僕は全然問題ないと思う。コンテ自身にちょっとでも嫌だな、という気持ちがあるなら別だけど、彼にはその気がないからね。だったら外野の意見はどんどん消して、コンテが守ってあげればいい。『エデル頑張れ、バスケス頑張れ』、それでいい。
チェ イタリアは4回W杯で優勝した。1934年はオリウンド3人がスタメンだった。1938年は1人。1982年はイタリアの植民地だったリビア生まれのクラウディオ・ジェンティーレがいたね。2006年はもちろんマウロ・カモラネージ。W杯を獲った時は必ずオリウンドが入っていた。
それはオランダ、フランス、ドイツ、スイス、イングランドなんかでも普通でしょ。でも、イタリア人はまだそれに慣れてないね。バロテッリはものすごく特別な選手に見える。なぜなら黒人だから。彼はイタリア生まれだからオリウンドじゃないけど。
八 なぜ他の国で認められても、イタリアでは毛嫌いされるの?
チェ イタリアは戦争に負けて植民地がなかった。世界がグローバルになったのは90年代で、そのころからイタリアに移民が入り始めたけど、その前は全くいなかった。僕が子供の頃は外国人なんてほとんど見たことがない。それでイタリア人はまだ慣れていない。
あと、イタリアは日本のような島国ではないけど、半島の北側にすごく高い山があって地理的にも他からちょっと離れている。不思議なことにローマ帝国時代はすごくオープンだったけど、20世紀はファシズムと戦争のせいでクローズドだった。鎖国みたいな感じかな。
八 なるほどね。