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日本代表 10年前

「ハリル=速攻」は時期尚早。今は“悪癖”を取り除く期間。その先にある真のスタイルとは

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

多様性に満ちているハリルホジッチのサッカー

「縦だけじゃダメだと思うけど、監督がそれを求めるなら意識を変えて行かなくちゃいけない」と今野は語るが、現在植え付けていることが浸透した先に、ポゼッションを選択肢として取り入れていくはずだ。

 ただ、それはハリルホジッチがあえて教えなくても、日本の選手たちが備えている資質であり、Jリーグの多くのクラブでも強化できていることだ。

 ハリルホジッチが目指しているのは、どんな相手にも勝利を目指してベストを尽くせるチームだ。ブラジルW杯において、彼が率いたアルジェリアが4試合で異なる戦い方を見せた様に。今はそのために日本が最も不足していると認識した部分を徹底して植え付けているにすぎないのではないか。

 この2試合を受けて“ハリルホジッチ=速攻”というイメージを真に受けた報道や記事が多く、現時点においてそれは間違っていない。しかし、後になって振り返ることになるかもしれない。ロシアW杯までのチーム作りにおいて、あの時期はあくまで日本の癖を取り除くための時間だったのだと。

 2試合で日本代表の戦いをガラリと変え、大量得点に結び付けた手腕は見事だが、ハリルホジッチのサッカーは恐らくこんなものではない。もっと奥深く、多様性に満ちたものだと筆者は期待している。

【了】

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