カウンターの信奉者ではないハリルホジッチ
サッカーの攻撃は流れにおいて大きく3つの要素を持っている。
ポゼッションはまず自分たちがボールを持つことを前提にした攻撃の進め方。次にカウンターは守備から攻撃に切り替わったところから、いち早く相手陣内のスペースを突くことだ。
もう1つは相手の守備が整っている、いないに関わらず強引に人数をかけてゴールを狙うもの、すなわちパワープレーだ。
ハリルホジッチはこれまでの指導や2試合の戦い方からカウンター志向の強い監督というイメージが定着してきている。
実際に選手たちもボールを奪うとまずボールを保持しようとしてしまう癖を心身から転換することを迫られているわけだが、これまで率いたチームから考えれば、ハリルホジッチはカウンターの信奉者でもなければ、何が何でも堅守速攻にこだわる監督でもない。
ウズベキスタン戦後、今野に再び話を聞くとチームとして速く攻める中で「やっぱり僕はボランチとしてゲームを落ち着かせたい気持ちもあるし、せっかく取ったんだから、相手ボールにするようなことはしたくない、前に人が多すぎるから、バックパスで落ち着かせたいというのはありました」と語っている。
ただ、ハリルホジッチは過去に率いたチームでも対戦相手や時間帯、その時の局面に応じてボールを落ち着かせるべき時は落ち着かせ、行くべき時はいくという状況判断に優れたチームを作ってきている実績がある。現在はやはり日本の伝統的な癖を取り除くためにあえて縦の意識を強調している様に思えるのだ。
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