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日本代表 10年前

「ハリル=速攻」は時期尚早。今は“悪癖”を取り除く期間。その先にある真のスタイルとは

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

「癖を直していかないといけない。すごく難しい作業」

 ハリルホジッチ監督は2タッチ以内のパスを主体としながら、ボールを奪った時にすぐ近くの味方につなぐのではなく、可能な限り1つ飛ばした先など、相手の守備にかからない場所に通す意識を選手に説いている。

 そしてアタッキングサードまでボールを運べば勇気を持ってゴールに向かう姿勢を持つことをかなり強く求めていることが選手の言葉からも読み取れる。

 合宿の初日はランニングだけで終わり、2日目、3日目と連続で非公開になったため、取材陣はその後も非公開が続くのかと戦々恐々だったが、その後は前日練習を含む全てがフルオープンとなり、一般公開となった日には小学生を対象に選手のサイン会が行われ、練習後には監督がスタンドまで足を運んで幼児を抱きかかえるなど、合宿序盤のイメージを一新させた。

 ハリルホジッチ監督は非公開練習の理由について「シャットダウンは戦術の準備をする時なので、それは協力してほしい。メディアのみなさんが見に来るなかでタクティカルの準備をするのは本当に難しい。選手の集中を要求するからだ」と語っている。

 その後の公開状況からも基本的には情報の流出を防ぐより、選手の戦術理解を高める理由が大きいことは読み取れる。

 そこで何が行われたのか細かいことは分からないが、前日練習の後に今野泰幸は「僕らには今までの癖が付いているから、その癖を直していかないといけない作業もある。すごく難しい作業」と語っていた。

 それが良いか悪いかはともかくとして、ハリルホジッチ監督の方向性に反するものであり、特にこれまで長く代表チームにいた選手たちはある種の意識改革を求められているのだ。

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