「彼の目指すべき指針に向かってやるべきことをやる」
さらに本田は、これまでチーム全体が“自分たちのサッカー”としてこだわりを見せていたポゼッションスタイルとは180度異なる戦術に対して「以前を否定するところから入っている部分はある。でもそれを恐れてはいないし、間違いを認める勇気は持っている」と過去との決別を示唆した。
また、後半にはDF水本裕貴が本職のCBではなく中盤の底として起用された。本人も「Jリーグのデビュー戦の途中から入った時にやった数分ぐらい」と振り返ったが、「とにかく無難にじゃなくて、普段やっていないポジションでもチャレンジすることを考えながらやれた」と前向きにとらえている。
宇佐美も「ここに来れば、途中出場が嫌だとか言ってられる立場でもない。何としてもまずここに残れるようにするには途中出場から結果を出すことしかできない。そういうことを繰り返していくうちに、自分のポジションを確立させていけるんじゃないかと思う」とさらに意欲を高めていた。
チームに新たなスタイルをもたらすとともに、これまで代表の扉を閉ざされつつあった選手たちのモチベーションも刺激したハリルホジッチ監督。
本田がチュニジア戦後に「彼の目指すべき指針に向かってやるべきことをやる」と語っていることからも、すでに指揮官の言葉、思いは選手に届いている。
ここ数年の低調な成績と迷走しかけていた強化策によって低迷期に突入する危険性も少なくはなかった日本サッカー界にとって、ハリルホジッチ監督は正しい道へと導いてくれる存在となるのかもしれない。
“ハリルジャパン”の誕生は、日本サッカーの歴史においてターニングポイントとなる可能性も十分にある。
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