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日本代表 10年前

固定は禁物だが――。ハリル流を体現した“チームの心臓”長谷部。若手の最高の手本に

ハリルホジッチ監督が求める球際の強さと縦への意識。それを体現したのが長谷部誠だった。ザック時代には噛み合わなかった部分もあるそのプレースタイルだが、新指揮官の戦術にはマッチ。若手の手本となるパフォーマンスを見せた。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

指揮官の高い要求に応えた長谷部

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長谷部誠【写真:Getty Images】

 ハリルホジッチ監督の初采配となったチュニジア戦は新たな指揮官の方向性、選手たちの意識を示すことに関しては上々の試合だった。

 もちろん現時点の質はA代表のそれとしては不十分だし、ハリルホジッチ監督も「奪ってから最初のパスで、まだまだ短いパスを使いすぎている」こと、速さを追求する中で正確性が伴っていない部分もある。

 また対戦相手のチュニジアもレーケンス監督が試合後に語った通り後半の途中で、運動量がガタッと落ちた事実を考えれば、終盤の2得点を手放しで喜ぶのも危険だろう。

 それにしても、縦を狙う積極性やそのイメージをチームとして共有する姿勢、守備における連動の中で球際に厳しく行く姿勢に関してはハリルホジッチ監督が求めるものを出そうとした。選手たちが向上しようとしていることが観る側にも伝わってきたことは非常にポジティブだ。

 今回は多くの代表経験が少ない選手にチャンスを与えるという目的があったわけだが、それにしてもハリルホジッチ監督の要求に最初から高いレベルで応えている選手が1人いた。キャプテンマークを巻いた長谷部だ。

 コンパクトなディフェンスの中心を担いながら、ボールを奪ったところから起点になるパス、中盤でボールを引き出してから縦に付けるパスなど、この試合でのプレーメーカーは間違いなく長谷部だった。

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