彼が登場した時、何をしようとしたのかは理解できる
前半のユナイテッドは素晴らしかったが、相手がジェラードだったとすれば違っていたかもしれない。彼は試合に出場しないことで不満を募らせており、さらに前半にはチームメートの誰一人としてタックルを仕掛けない試合をピッチ外から見守らなければならなかった。ホームに宿敵を迎えて自分のチームが崩されていくのをラインの外から見ているのは良い気分ではない。
彼がピッチに登場した時、何をしようとしたのかは理解できる。いくつかタックルを繰り出して観客を勢いに乗せることだ。だが、たとえ自分の中で気持ちが高まっていると感じる時でも、何より重要なのはコントロールすることだ。私も現役時代に何度か退場になったが、気持ちを抑えられなくなったことは一度もなかった。タックルのタイミングを誤ったり、ミスを犯したりしただけだ。
ジェラードはアンフィールドとリバプールでの最後の試合へと近づきつつある。私にとってのオールド・トラフォードがそうであったように、彼にとってのアンフィールドも特別な場所だろう。私が一度目に引退した時、2010-11シーズンのリーグ最終節ブラックプール戦がオールド・トラフォードでの最終戦になると知っていたのはサー・アレックス・ファーガソンと自分自身だけだった。少し悲しくはあったが、私は涙を流すタイプではない。現役の終わりは誰にでも来るものであり、どうすることもできない。
周りを見渡してみれば、ユナイテッドでプレーしている時期に借りていたプライベートボックスから家族が見てくれていた。その6日後にはチャンピオンズリーグ決勝を戦った。それから8ヶ月後、またトップチームに戻ることになった。2013年の夏に最終的な引退をする時点では、それが本当に最後だということを受け入れていて、引退を迎えるのははるかに容易なことになっていた。
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(※)本記事はインデペンデント紙との独占契約により、Football.Blueが日本での配信を行っています。