熾烈なポジション争いが待つアタッカー陣
左ウィングは乾貴士、武藤嘉紀、宇佐美貴史の3人が競うが、乾がコンディションを崩しており、チュニジア戦は武藤か宇佐美の二者択一になりそうだ。宇佐美の場合、複数のポジションでオプションになりうるが、スタメンで信頼して使われるには守備面や運動量、攻守の切り替えなどいくつかハードルがある。
もちろん2試合で多くの選手にチャンスを与えるという趣旨から、初戦で先発してもおかしくはないが、現時点では効率的に攻撃を加速できる武藤がファーストチョイスになるのではないか。ただ、宇佐美の打開力と決定力は仮に途中出場となっても大きな武器になりうるので、勝負にこだわる指揮官がどこで投入するか注目される。
［4-2-3-1］のトップ下は香川真司の先発が濃厚で、ハリルホジッチ監督のスタイルをハイレベルに実現するためのスイッチとして期待される。ドルトムントで待望のゴールを決めたが、日本代表でも決定的なパスを出すだけでなく、素早い攻撃からタイミング良くゴール前に進出したい。
その香川と同じトップ下で出場を狙う清武弘嗣の持ち味は周囲の特徴を活かすチャンスメークと高精度のラストパスだ。特に永井との相性の良さはロンドン五輪で証明済みであり、本人も「1つのオプションだと思うし、謙佑を活かすには出し手が必要」とホットラインの重要性を強調する。
香川も清武もハリルホジッチ監督のスタイルに適したトップ下の選手だが、それぞれ持ち味があり、2人がともに良いパフォーマンスを見せれば、単純なスタメン争いだけでなく、対戦相手や攻撃陣の構成に応じた使い分けが可能になりそうだ。
ただ、筆者の予想としては遠からず、このポジションの有力候補に本田が入ってくると見ており、五輪世代の南野拓実なども特徴を突き詰めれば、ハリルホジッチ監督のスタイルではサイドよりトップ下の方が活きると考えられる。システムによっては彼らが並び立つ形もありうるが、非常にハイレベルな競争になっていくのではないか。
