「PA内の冷静さとシュートのうまさは凄まじいものがある」
初めて代表入りした岡田武史監督時代とアルベルト・ザッケローニ監督時代は2列目のサイド、ハビエル・アギーレ監督はインサイドハーフでジレンマを抱えながらプレーした分、彼が理想としていた「点の取れる独自の10番像」を構築することができなかった。
しかしながら、慣れ親しんだトップ下なら、持てる力の全てを出し切れる可能性は十分ある。復調の兆しを見せたハノーファー戦がその象徴。1ゴール1アシストを記録した香川は相手にとって確実に脅威になっていた。
かつてセレッソ大阪で一緒にプレーした10番の先輩・名波浩(現ジュビロ磐田監督)が「ペナルティエリア内に侵入した時の真司の冷静さとシュートのうまさは凄まじいものがある」と絶賛したように、本来の彼のゴール感覚は非凡なものがあるはずだ。
同じポジションには地元・大分出身の清武弘嗣(ハノーファー)も控えていて、競争は熾烈だ。2012年ロンドン五輪でハイプレスからのスピーディーなサッカーを実践した経験を持つ清武は「(ハリルホジッチ監督の目指すものが)あの時と似ている」と語っており、世界舞台での成功体験を持つだけに強い。
その清武を上回って異彩を放つためにも、香川にはゴールという明確な結果がほしい。
2014年ブラジルW杯、そして1月のアジアカップでの雪辱を果たすべく、チュニジア戦では苦い過去と決別した自分自身を見せつけてくれるはずだ。
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