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日本代表 10年前

「速攻は有効」。スピードある前線を生かすも殺すも“吉田次第”。最後方から新チームをけん引

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「速攻の方は伸びしろがかなりある」

 とりわけ、吉田がハリルホジッチ監督の指摘に共感しているのは、ボールを回しながらも肝心な場面で決定的な仕事がしきれていないという課題だ。

 ブラジル大会のギリシャ戦(ナタル)、アジアカップの準々決勝・UAE戦(シドニー)が象徴的だったが、圧倒的にポゼッションしながらも勝負しきれずゴールが遠かったという事実は前々からチームに重くのしかかっている。

「いいボール回しは沢山できているけど、試合を決めるところのスペース、ペナ(ルティエリア)の中が攻守ともに物足りないという話はありました。監督も言ってましたけど、奪った後のボールを速くタテにつけるっていうのは非常に有効だと思うし、そこがもっとうまくならないといけないなとは感じてますね。

 遅攻ももちろん改善しなきゃいけない部分ですけど、速攻の方はまだまだ取り組んでいかないといけない。そこの伸びしろはかなりあるかなと思います」とイングランドというタテに速いスタイルを伝統とする国で戦っている男は、しみじみとこう語っていた。

 日本サッカー界に課せられた重要命題を改善するために、新指揮官は永井謙佑や川又堅碁(ともに名古屋)、宇佐美貴史(G大阪)らスピードという武器を持つ選手たちを新たに抜擢した。

 もちろんアギーレジャパン時代にFWを担ってきた岡崎慎司(マインツ)や武藤嘉紀(FC東京)、本田もタテに出ていく力は十分ある。それをいかに引き出すかは、フィード力の高い吉田の戦術眼にかかっている部分が少なくない。

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