前経営者が抱えていた負債
この問題について、今日までの報道や開示されている情報などをまとめると、次のようになる。
まず長友を獲得した当時の会長であるイゴール・カンペデッリ氏は、すでにクラブにはいない。チェゼーナがセリエBに降格した半年後の2012年12月、「私は経営権を手放すことにした」と表明。地元の投資家グループを率いるジョルジョ・ルガレージ氏が経営権を引き継いだ。
それから約2年後、ルガレージ会長はチェゼーナがFC東京に長友の移籍金をまだ支払っていなかったことを知らされた。当然のこと、この件はローザンヌにあるスポーツ仲裁裁判所(TAS)預かりとなる。そして10月22日、同会長は自身の『フェイスブック』で、次のようなメッセージを発した(当該箇所は現在削除されている模様だが、WEBサイト上では複数の記事に残っている)。
「私は火曜日(10月21日)ローザンヌにいた。TASに赴き、FC東京の副会長と会った。そしてまた、ACチェゼーナが海外から選手を買っておきながら滞納していたことが発覚したのだ。9人もの選手にわたってやっていることは常に一緒で、総額は600万ユーロ(約7億8000万円)を超える。そのうち5件についてはすでに綺麗にしており、2014年までは3件を片付ける。そしてFC東京には2015年以内にやらなければならない」
実はカンペデッリ前会長は、巨額の負債を残していた。経営権をルガレージ氏に譲渡した直後、なんと約3500万ユーロ(約45億5000万円)の負債をクラブに残していたことが発覚した。そこから検察は、会計虚偽の疑いで捜査を開始。現在カンペデッリ氏は、自身のグループ企業の損失補填のためにチェゼーナの資金を不正流用した容疑で当局から取り調べを受けている。
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