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代表 10年前

モデルは「チリ」。世界を制しながらも変革を続けるドイツ。視線は既にロシアを見据える

text by 本田千尋 photo by Getty Images

3バックで卓越したパフォーマンスを見せたチリ

 2014年のブラジルW杯で優勝してから、ドイツ代表は不振にあえいだ。9月には2016年にフランスで行なわれる欧州選手権の予選が始まり、初戦のスコットランド戦では2-1と幸先よくスタートを切った。

 しかし続く10月の2連戦、ポーランド戦では0-2と敵地で一敗地にまみれ、アイルランド戦ではアディショナルタイムに1-1のドローに持ち込まれている。

 大量得点が期待された11月のジブラルタル戦は4-0に終わり、12月には14年最後のテストマッチとなったスペイン戦を1-0でかろうじて物にした。レーブに言わせれば、「夏に世界王者となった」からといって、あぐらをかいている暇はない、ということだろう。

 キッカー紙によれば、年明け早々にレーブは、DFB(ドイツサッカー連盟)のスカウトチーフであるウルス・ジーゲンターラー氏をオーストラリアで開催されたアジアカップ、そしてイタリアとチリに送り込んだ。

 ここでは特に「チリ」という南米の国名が重要となる。レーブはキッカー紙に「チリはこのシステムを卓越してプレーする」とコメントを残した。

 W杯でチリは、結果こそPK戦の末にブラジルに敗れてベスト16に終わったが、レーブの言う「このシステム」、つまり3バックを基本とした戦術的バリエーションを軸に優れたチーム・パフォーマンスを見せている。

 ドイツ代表監督は、ブラジルを敗退の寸前まで追い詰めたチリのサッカーに感銘を受けているようである。よってスカウトチーフをチリに送り込んだ。

 なお、ジーゲンターラー氏をアジアカップとイタリアに派遣した理由は、キッカー紙上では明らかではない。いずれにせよ、「夏には世界王者となったが」チームをさらに先へと導こうとする、つまり「変革」をもたらそうとする貪欲な野心がレーブの中で静かに燃えていることは確かだ。

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