攻めあぐねる東京V
試合は13時3分にキックオフを迎えた。
フリーキック、コーナーキック、オフサイド……プレーが止まる度、電光掲示板では『甘ブリ』のキャラクターがゲームの進展を知らせていた。アメリカンスタイルの演出とも言えるが、入れ込める隙にはどんどんアニメの要素を入れていこうという発想でもある。言葉を変えれば、インプレー中には、もちろんアニメが入り込む余地はない。
前半45分間は試合がやや眠っていた。ともに1敗1分けで迎えた第3節。負けられない、勝ちたい思いが、微妙に選手たちを萎縮させていたのか。
水戸は前半14分、トップにボールが入った瞬間、右サイドの吉田眞紀人がオーバーランするようにペナルティボックス左へと走り込む。このシュートは惜しくも外れた。両チームを通じてもっとも決定的な匂いが漂う場面だった。
だが、いかんせんうしろに重い布陣で、守備が堅いぶん前めが手薄になっていた。それでも、モップで選手を掃くがごとき全体がぐぐっと押し上がる攻撃が機能すれば、東京Vよりも得点の可能性はありそうだった。
東京Vは開幕の対セレッソ大阪戦同様、自陣からミドルサードまでのボールの運び方は非常にいい。しかしアタッキングサードではなかなかフィニッシュに持ち込めない。あとひと押しが足りなかった。注目のセンターバック今瀬淳也を基幹とする水戸守備網を突破できない。