人並み以上に実直さを追求
フランスに30年も住みながら、この国のカルチャーにまったく染まろうとしないところも「異質だった」と、彼女は眉をひそめた。
そしてそれをうまく中和していたのが、実直で厳しい指導スタイルは共通するものの、人柄が柔軟なハリルホジッチの右腕、今回日本代表スタッフにも帯同しているフィジカルトレーナーのシリル・モアンヌだったという。
しかしパリジャン紙のPSG番記者で、ハリルホジッチ本人はもちろん、当時のスタッフや選手たちに密に接していたセベラック記者は、「ヴァイッドのことを嫌っている人はいなかったんじゃないかな。彼は厳しいが、根は優しい人物で、選手からも慕われていたよ」と懐かしみをこめた笑顔を見せた。
「彼はクレイジーなんだ。だがそこが良かった」
選手は、わけもわからずメンバーから外されたりする状況を一番嫌うが、ハリルホジッチは常に本人に直接話し、また選手側に問題があるときも、自ら話を聞いた。そのダイレクトな間柄を、選手達は歓迎していたのだという。
前述のファブレーズの一件は、水面下で事が運ばれていたことにハリルホジッチは怒りを覚えた。何事も率直に対応したいという彼のポリシーに最も反した出来事だったからだ。
アルジェリア代表監督時代にも、『ハリルホジッチは兄と結託してアルジェリア人選手の移籍の仲介をしている』という根も葉もない噂を報じた同国のとあるメディアを、彼はそれ以来許さなかったというが、こうした一連のエピソードからは、この人並み以上に実直さを追求する指揮官との付き合い方には、特殊な「コード」があることが浮かび上がる。
チーム采配と同時に、ハリルホジッチ監督の日本メディアとの付き合いもこれから本格化していく。ハリル・ジャパン成功のためには、この“ハリルホジッチ・コード”は、外せないキーとなるだろう。
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