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本田圭佑 10年前

消え去った「右から中へ」。本田のデータが示すミラン低迷の要因。安易な個人技頼りで失った“個性”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

“がんじがらめ”のようなプレーを強いられた本田

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本田は“がんじがらめ”のようなプレーを強いられている【写真:Getty Images】

 まず、アタッキングサードのパーセンテージでは右サイドが37.29%。一方で中央は11.86%。ペナルティエリア内でボールを持った回数はわずか1回にとどまった。

 この数字は、前半戦の本田からすれば「衝撃的」ともいえる変化だ。中央が11.86%というのは一般的なウインガーと何ら変わりのない数字だ。

 本来は中央のポジションを得意とする本田をサイドで起用することで得られていたミランの個性は完璧に消え去った。

 要因はさまざまだろう。本田のアジアカップでの離脱・疲労蓄積、アバーテら主力の相次ぐ離脱、成績不振による疑心暗鬼…。多くのマイナス要素が重なった結果、ミラン、インザーギ監督は「メネズの個人技に頼る」という最も安易な方法を選んでしまった。そして、それこそが低迷の原因となっている。

 チーム全体が明確な意図を持たずにプレーしているため、本田はスタートポジションから動くことができず、“がんじがらめ”のようなプレーを強いられている。

 メネズの個人技のみで勝てるのは降格圏に沈む力の大きく劣るチームのみ。拮抗した相手や上回る相手にはチーム全体で戦わなければ結果が出るはずもない。

 個性を失ったチームに怖さなどない。カリアリにとって、この試合の結果は「落胆」や「諦め」といったものではなく、「悔しさ」が募るものだっただろう。手応えとしては「勝てる」と思ったはずだからだ。

 ミランが残り試合、再びサポーターの心を取り戻すためには、インザーギ監督が今季のスタート時点に思考を戻す必要があるだろう。

【了】

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