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本田圭佑 10年前

消え去った「右から中へ」。本田のデータが示すミラン低迷の要因。安易な個人技頼りで失った“個性”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

決して低調ではなかった本田

 得点シーンを振り返ると、ミランの1点目はカリアリのマークミスとメネズの個人技、CKからの2点目はメクセスのひらめき、3点目はエリア外でのファールがエリア内と判定されてのPK。

 対してカリアリの1点は、切れ味の鋭いカウンターからファリアスが決めてのもの。チームとしての個性やモチベーションは、明らかにカリアリが上だった。

 特にミランにとって“重症”といえるのは個性が完璧に失われていることだろう。それが顕著に現れているのが本田圭佑だ。

 この日、交代で退く際にブーイングを浴びた本田だが、彼個人のパフォーマンスはそれほど悪いものではなかった。チャンスを作った回数は、チームトップの3回。3度の1対1を全て制し、守備面でも貢献した。データサイト「Who Scored.com」のレーティングでも平均以上の7.3点を付けられていた。

 しかし、注目すべきはやはり「プレーエリア」ピッチ内の各エリアでボールを持ってプレーした割合を示すもので、これまで本田が右ウイングを務めた際には最も特徴的なデータとして浮かび上がっていた。

 右サイドに位置しながら、アタッキングサードでは中へ。パーセンテージでは、右サイドが10~20%でありながら中央が20~30%と上回ることが当たり前ともなっていた。

 こうして本田が“右から中へ”という動きを見せることで生まれたスペースに右SBのアバーテが侵入してクロス。この攻撃パターンはミランにとって最も有効な手段となっていた。

 ところが、この日の本田のプレーエリアはこれまでとは全くことなる数字を示していた。

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