決して低調ではなかった本田
得点シーンを振り返ると、ミランの1点目はカリアリのマークミスとメネズの個人技、CKからの2点目はメクセスのひらめき、3点目はエリア外でのファールがエリア内と判定されてのPK。
対してカリアリの1点は、切れ味の鋭いカウンターからファリアスが決めてのもの。チームとしての個性やモチベーションは、明らかにカリアリが上だった。
特にミランにとって“重症”といえるのは個性が完璧に失われていることだろう。それが顕著に現れているのが本田圭佑だ。
この日、交代で退く際にブーイングを浴びた本田だが、彼個人のパフォーマンスはそれほど悪いものではなかった。チャンスを作った回数は、チームトップの3回。3度の1対1を全て制し、守備面でも貢献した。データサイト「Who Scored.com」のレーティングでも平均以上の7.3点を付けられていた。
しかし、注目すべきはやはり「プレーエリア」ピッチ内の各エリアでボールを持ってプレーした割合を示すもので、これまで本田が右ウイングを務めた際には最も特徴的なデータとして浮かび上がっていた。
右サイドに位置しながら、アタッキングサードでは中へ。パーセンテージでは、右サイドが10~20%でありながら中央が20~30%と上回ることが当たり前ともなっていた。
こうして本田が“右から中へ”という動きを見せることで生まれたスペースに右SBのアバーテが侵入してクロス。この攻撃パターンはミランにとって最も有効な手段となっていた。
ところが、この日の本田のプレーエリアはこれまでとは全くことなる数字を示していた。
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