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日本代表 10年前

【識者の眼】戦術の鍵は“スピード”。招集メンバーから見えるハリルホジッチ監督の意図とは?

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ハリルホジッチが攻撃陣に求めるもの

合い言葉は“縦のスピードアップ”。代表メンバー戦術から読み取るハリルホジッチ監督の意図とは?
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 FWの構成もスピードアップからDFの背後を狙っていきたい意図が良く表れており、興梠慎三(浦和レッズ)の復帰は象徴的だ。もちろん岡崎慎司(マインツ)、大迫勇也(ケルン)ともに幅広いポストプレーで高い位置に起点を作ることもできるが、ハリルホジッチ監督は高さを日本代表の強みとして打ち出すことにこだわってはいないということだ。

 もちろん、チームのベースが固まってきた段階で、プラスアルファとして長身FWを加えていくかもしれないが、縦の意識を植え付けること、そのために適したFWを選出したと言える。

 ボランチでブラジルW杯以来の復帰となった青山敏弘も当時のザッケローニ監督が認めた様に、縦を狙った正確なパスを持ち味としており、左SBで初選出となった藤春廣輝(ガンバ大阪)も永井と遜色ない走力を誇り、積極的に攻撃参加していくタイプの選手だ。

 プレースピード、縦の意識、相手DFの裏を狙う意識を高めることはカウンター狙いと誤解されがちだが、ボールを中盤で持つ側になっても、そこで無駄にボールをキープして展開を停滞させることなく、縦を突く意識を持ち続けてほしいということだろう。

 ブラジルW杯、アジアカップから引き続き選ばれた常連選手たちにも、そうした意識改革を求めていくはずだが、今回のメンバー選考で常連以外からピックアップされた選手たちは車屋紳太郎(川崎フロンターレ)や大森晃太郎(ガンバ大阪)、柿谷曜一朗(バーゼル)などバックアップメンバーも含め、ハリルホジッチ監督の申し子的な存在になる可能性がある。

 そうした意識は今回の代表メンバーやバックアップメンバーに選ばれなかった選手たちにも求められるものであり、それをJリーグや海外のクラブで発揮した選手は次回以降に抜擢される可能性が高まる。もちろん試合には流れがあり、駆け引きがあり、無闇矢鱈と縦にスピードアップすればいいものではないが、日本代表の競争における1つの合い言葉になっていくはずだ。

【了】

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