本田交代で崩れたバランス
同点弾につながったフィオレンティーナのCK、またホアキンのヘディングシュートを導きだしたパスクアルのクロスも、ミランの右サイドから発生したことだ。本田を引っ込めてしまったことからバランスの崩壊につながった感があるのは否めないのが、彼の交代に関してインザーギ監督はこう説明している。
「あの時点で我々は消耗し、ゴールを奪う必要があった。そしてチェルチであればカウンターで攻められると思った。ゴールに至るまでのラストパスにカッティベリア(悪辣さ、強引さ)が足りずに点が奪えなかったので、そうなると終盤に苦しむことになるのは当然だ。フィオレンティーナは同点にしたが、本来ならあの時点で我われが2-0にしておかなければならなかったのだ」
交代される前、本田はカウンターの際にメネズへのラストパスをミスしたり、縦に走りきらずボールキープを選択したりしていたから、指揮官はそれを消耗と見たのかもしれない。正確なチャンスメイクを通し、最後までピッチに残すための理由をインザーギにアピールできなかったのも、厳し言い方をすれば本田の“落ち度”であるだろう。
だからといって、バランスを崩してまで点を取りに行くのは間違った選択だった。トリノ時代、ベントゥーラ監督はチェルチがMFとしてはバランスを保てないのでFWにコンバートした過去があり、アトレティコ・マドリーでシメオネ監督から信頼を受けられなかったのもそこが理由だったはずなのだ。
一方、勝ったフィオレンティーナのモンテッラ監督は満足げだ。「選手たちには疲労もあったはずなのに信じられないことをしてくれた。(インテルやナポリなど)ELを闘ったチームが軒並み今節はうまくいっていないが、我々は勝った。これで堂々とCL進出へ挑戦していける」と語った。
再生のうまくいかないミランとは違い、彼らはすでに上のステップを現実的に視野に入れている。モンテッラは来季のミラン監督候補として名前が挙がるが、フィオレンティーナにはそんな指揮官を手放す理由はない。デッラ・バッレ会長は「ビンチェンツォ(・モンテッラ監督)は素晴らしい指導者であり、ここからは動かない」と現地での監督人事報道を一蹴した。
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