取りどころのないボール回し
ゲームの最中に清武は、前節に対戦したバイエルンよりもボルシアMGの方が強いと感じた。そして両者の差は、ボールの回し方にあるのだという。清武はボルシアMGのパス・スタイルを、「1個飛ばし」という言葉で現した。
「チャカが上手かったですね。正直、全部1個飛ばししてくるから、取りどころがない」
清武の言うようにボルシアMGは、ボランチのスイス代表グラニト・チャカを中心として、丁寧にパスを繋いでいった。特徴的なのは、例えばチャカが目の前の近いところにいるボランチのクラマーではなく、その向こうの右SBヤンチュケに「1個飛ばし」でパスを送る、といったようなところである。
バイエルンのように「短いパス」を繋いでいくのではなくて、そうして「長いパス」を回していく。またその「1個飛ばし」は、サイドチェンジといったより長い形を取ることもある。
短いパスの連続であれば、連動したプレスも掛け易い。しかしそうした長いパスでは、プレッシングの的を絞りづらい上に、より長い距離を走らされることになる。
第25節を終えてチーム別の走行距離でブンデスリーガ全18チーム中の1位は、ハノーファーだった。ボルシアMGによって、ハノーファーは走りに走らされたのである。
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