「メングラの方が上手かったです、ボール回し」
走らされながら、清武弘嗣はこう思ったという。
「バイヤン(バイエルン)より強いな」
2015年3月15日、ブンデスリーガ第25節、清武と酒井宏樹の所属するハノーファー96は、アウェイでボルシアMGと戦った。清武は先発、酒井はベンチスタートである。
ハノーファーは前節、清武がゴールを挙げたもののバイエルンに1-3で敗れて、12位でボルシアMG戦を迎えた。ハノーファーは昨年12月のアウクスブルク戦以来、勝利に見放されている。
一方のボルシアMGはというと、ヨーロッパリーグではセビージャに敗れて決勝トーナメント1回戦で敗退したが、ブンデスリーガでは3位と来季のチャンピオンズリーグ出場圏内に留まっている。
なぜボルシアMGは、CLの出場を狙い続けていられるのか。試合後の清武の言葉に、その一端が垣間見えた。
「前半だけでもう、しんどかったですね、今日は」
前半を終えた段階では、まだ0-1と1点差だったが、それはスコア上のことに過ぎなかった。ボルシアMG戦を終えて清武の走行距離は12.52kmだった。チームトップの数字である。しかし清武からすると、走っていたのではなく、走らされていたという感覚が強かった。
「メングラの方が上手かったです、ボール回し。全部1個飛ばしとかでやってくるから、そこまで追わないといけない。バイヤンだと、CBからシャビ・アロンソだったり、短いパスが多かったので、追い易かったんですけど、今日は全部パスが長かった。ほんとに疲れましたね」
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