過去の栄光も現在の苦境も知る唯一の日本人
「イタリア語だって、まったくしゃべれませんでしたし」と、入団当初のことを振り返りながら、「でも、ここで最高のシーズンを最高の選手たちと過ごせたことは、本当に幸せでした」と目を細めるように、遠藤がトップチームのトレーナーになった2002/03シーズンからの5シーズンで、ミランは、スクデット(セリエA優勝)をはじめ、ビッグイヤー(欧州チャンピオンズリーグ優勝)やトヨタカップ(現FCWC)制覇など、取れるタイトルを総なめにした。
だが、現在のミランは周知の如く、ベルルスコーニの娘バルバラ女史とアドリアーノ・ガッリアーニの確執が取り沙汰されるなど、フロントが一枚岩にならないだけでなく、欧州サッカー連盟によるファイナンシャルフェアプレーが選手の獲得をはじめ、それまでのクラブ経営のあり方に大きな影響を及ぼすなど、内憂外患の状態が続いている。
ミランが誕生してから116年。長い目で見れば、現在の勝てない状況も歴史のなかのひとつの通過点にすぎないのかもしれない。
そうしたなか、16シーズンという長きにわたってミランに籍を置いて来た遠藤は、ミランはもとより、欧州サッカーの『祇園精舎の鐘の声』を聞き続けてきた唯一の日本人ではなかろうか。
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