ミランの選手であれば誰でも知っている治療法
『マルセイユルーレット』や『クライフターン』など、思わず天晴! と叫んでしまうような華麗なフェイントは、そのプレーを披露したジネジーヌ・ジダン(元フランス代表主将)の出身地(マルセイユ)や、ヨハン・クライフ(元オランダ代表主将、元バルセロナ監督)の名にちなんで命名された愛称だ。
ピッチ上で見事な足技を披露する選手のフィジカルは、トレーナーと呼ばれるスタッフたちの卓越した手技によって支えられている。
ACミランに過去10年間、在籍した選手なら誰もが知っている治療法がある。その名を『エンドーチェック』という。
開発したのは、ミランが誇る日本人メディカルトレーナー遠藤友則(えんどうとものり)で、その名の通り、遠藤の名前から命名された。名付け親は、アレッサンドロ・コスタクルタ(元イタリア代表)。
その昔、治療のことを『手当て』と呼んだように、自らの手技に磨きをかけながら東洋医学をベースに開発したというエンドーチェックには、診療時間がたった3分とはいえ、試合前ともなると、ムンタリなど直接担当する選手のほか、デ・ヨングらも並ぶため、行列ができるほどの人気振りだ。
本田圭佑のミラン入りの噂が真実味を帯び始めた2013年頃から、「ミランに凄腕の日本人トレーナーがいるらしいぞ」と遠藤の周辺がにわかに騒がしくなったが、遠藤はミランに入団した1999年から物音ひとつ立てずに黙々と努力を重ねていたのである。