サヒンのの欠場でビルドアップの質が低下
そして90分を通して、香川が「得点の匂いというのがなかなか感じる瞬間がなかった」と振り返るように、ドルトムントにチャンスらしいチャンスを作らせず、0-0に持ち込むことに成功する。
ケルンの守備ブロックの中で、思うように力を発揮出来なかった香川は61分に交代となり、「あれだけ守られたときにどう崩すのか」と改めて今季のドルトムントのテーマを口にした。
とは言え、例えば2月28日のダービーでは、5-3-2という、ともすればケルンの4-4-2よりもさらに固い守りを敷いたシャルケに対して31本ものシュート浴びせ、前線の連動性で守備陣を圧倒している。
確かに2月に4連勝を飾った対戦相手は、HSVやケルンのように勝利を度外視した守備ブロックを形成したチームはなかったかもしれない。それでも、シャルケを粉砕したようなパフォーマンスを、3月に入ってからのリーグ戦2連戦でチームとして発揮出来ていないのも事実だ。
このことについて香川は「色々な要素が噛み合っていないのかなあ」と考える。香川は「シンプルな攻め」、「連動性」、といったことを「要素」として挙げたが、3月に入って、4連勝の勢いにブレーキがかかった要因は何だろうか。
まず考えられる理由は、サヒンが抜けたことにより、攻撃の組み立てを主にギュンドアンが1人で担うことになって、ビルドアップの質が低下したことである。
ダブルボランチがその両者であった時には、6番を兼ねた8番が2人いる格好となり、ボール回しを含め、適切なタイミングでの効果的なパスを前に送ることが可能だった。ベンダーもケールも6番としては申し分がないが、横方向のパスが多く、縦方向に相手の嫌がるところへパスを送ることを不得手とする。
【次ページ】連動性を欠く香川とロイス