求められるハードワークの“中身”
アギーレ前監督は選手たちがピッチ上で状況に応じた判断力を高めるために、決まりごとをあまり作らないだけでなく、対戦相手の情報をあまり与えなかった。しかし、ハリルホジッチ監督は親善試合を含めて相手を分析して臨むはずだ。
“少し時間を与えてほしい”と前置きしながら「3月に2試合あるが、2つとも絶対に勝利しなければならない」と語ったのには、そうした基本姿勢を最初から崩さず出したいということもあるのではないか。
もちろんスタートしたばかりで手探りの部分もある。ベースになる戦術面は段位を追って植え付けていくはずだが、自分の哲学をしっかり選手たちに分かってもらうためには、試合に向けたアプローチに関しては本番と変わらないテンションで選手にぶつけていくことが大事だろう。
ここ2週間で、日本のW杯やアジアカップの試合を全て観たというハリルホジッチ監督。守備では「高い位置、中くらいの位置、低い位置というのがあるが、全員が関わらなければならない」と語り、どんな状況でもチームのために献身的に関わることを求めていく姿勢を打ち出した。それは体力的なハードワークはもちろんのこと、気持ちの部分でも抜くことなく関わっていくということだ。それは守備の厚みとなって表れる。
攻撃にも「たくさんの選手が関わってほしい、たくさんの人数をかけたい」と語ったが、それは前から後ろまで、全員が攻撃に参加している意識を共有するということでもある。1タッチ、2タッチのパスをベースに攻撃を組み立て、フィニッシュには3人、4人とゴール前に入っていく。それはどんな時も全員でビルドアップに参加し、フィニッシュにも参加する意識の共有を求めることに他ならない。
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